通信性能や機能を柔軟に変更できる通信技術を開発、アラクサラ

アラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)は、通信サービスの需要に合わせ、通信ノード内のハードウェアリソースを任意に再構成することで、通信性能や機能を柔軟に変更できる通信技術を開発した。通信ノードの処理の柔軟性を保ちつつ、通信処理性能を400Gbpsに拡張可能とする見通しだという。

日本の通信トラフィックは、インターネットサービスの普及、モバイルサービスの普及などにより、継続的に増加している。その一方で、通信サービスの多様化もますます進展。例えば、企業向けの低遅延・低パケットロス率を実現する高品質イーサネット伝送サービスや、メールやWebを中心に発展してきたベストエフォート型インターネット接続サービスなど、特性の異なる様々なサービスが幅広いユーザーに利用されている。

今後も、移動系アクセスの5G化やIoTの進展に伴い、通信サービスの大容量化と多様化がさらに進むと予想される。この「大容量化」と「多様化」の両者に対応するため、アラクサラは、情報通信研究機構(NICT)委託研究「光トランスポートNW における用途・性能に適応した通信処理合成技術の研究開発」の支援のもと、通信サービスの需要に合わせ、通信性能や機能を柔軟に変更できるノードアーキテクチャを開発した。

従来、100Gbps超級のインターフェースを持つ通信ノードは、専用ハードウェアでパケット処理を高速化しており、固定的なパケット処理しか行えなかった。開発した新技術は、専用ハードウェアと、FPGAやNP/CPUなどのプログラム可能なデバイスとを連携動作させることで、通信ノードの高速性を保ちつつ、性能と機能とを柔軟に変更、ハードウェアを再構成する技術だ。

新技術では、通信パケットの基本的で固定的な、パケットの宛先検索処理やパケットを中継する処理は専用ハードウェア「ASIC」で実現する。専用ハードウェア同士は、プログラム可能なFPGAを介して相互接続されており、通信サービスの機能に応じて、FPGAのプログラムを変更する。専用ハードウェアに対する入出力信号を加工して高速、かつ、柔軟なパケット処理を実現する。さらに複雑なプロトコルやアプリケーションの処理は、NP/CPU上にてソフトウェアで実施する。

また、通信サービスに必要な性能に応じて、FPGAのプログラムを変更して、必要なハードウェアだけを動的に相互に組合せる。ノード内のハードウェアを様々な用途に自由に割り当てることができる「リソースプール」として用いられる。

例えば、NP/CPUのリソースをエッジサーバの一部として利用したり、さらには不要な専用ハードウェアの電源をOFFすることで省電力化できる。慶應義塾大学が、このリソースプールを制御し、エッジサーバとして利用するプログラムの開発を行っている。

アラクサラによると、この新技術により、100Gbps超級のインターフェース上で、多様なサービスに応じて通信機能の再構成を実現。高速性と柔軟性のトレードオフの関係を解決するという。通信サービスの大容量化と多様化に同時に実用的・経済的に対応できるため、将来のネットワークの変化にプログラム変更のみで対応でき、ネットワークの通信設備投資や維持管理コストの低減が見込めるという。