情報通信
多数のカメラ映像、大量データを低コストでリアルタイム伝送する
災害・防犯対策などでカメラ監視システムの設置が急拡大している。昨今、安全運転支援や車両運行管理のための通信型ドライブレコーダをはじめ、産業用ロボット、ドローンなどに搭載されたカメラによる遠隔映像監視システムの普及も進んでいる。
監視システム周辺の状況を遠隔からリアルタイムで把握するためには、多数のカメラ映像を同一画面に見やすく表示する必要がある。移動体の搭載カメラで撮影した映像では、より広範囲からのデータが無線通信で収集される。しかし従来システムでは、通信パケット容量と通信速度に制約があって、データ処理の負荷が問題となり、遠隔でのリアルタイム監視を低コストで実現することが難しいという。
東芝は、社会インフラの遠隔監視カメラや車・鉄道・産業用ロボット・ドローンなど移動体上のカメラ、広域配置された多数のカメラによる大量の映像を、独自の映像圧縮伝送技術とアーキテクチャにより、クラウドのサーバに通信量を抑えてリアルタイムに収集・配信するアダプティブ映像伝送システム技術を開発した。現在の一般的なドライブレコーダーに比べて伝送データ量を8割以上削減でき、数千台のカメラ映像を1台のサーバで処理できる。
スマホ等のHTML5標準ブラウザで再生可能であることも実証した。今回のシステム技術では、映像データを高画質なまま細切れに管理し、その一部分のみを伝送することで通信パケット量を節約。詳細画を見たい時は表示モードを切り替えることで、即座に全映像データを伝送してなめらかで鮮明な映像を表示。これにより、全体の通信量を抑えながら詳細なリアルタイム監視を実現した。
同社はそのデモシステムを今月8・9日開催のオープンイノベーションフェアに展示。同技術の早期実用化を目指すとともに、AIなどを用いた画像認識技術を活用し、より効果的に映像を使用・解析する遠隔映像監視システムの実現に向けた研究開発も進めていく構えだ。