ICT×エネルギーによる"地産地消型エネルギー社会"の実現に向けたトライアル

西日本電信電話(NTT西日本)とNTTスマイルエナジーは、日産自動車と協業し、電気自動車(EV)を活用したV2Bによるオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルを2018年12月から開始する。V2Bとは「vehicle to building」の略で自動車とビルの間で電力相互供給する技術やシステムの略称のことを指す。

パリ協定を契機として、CO2削減が世界の大きな潮流となっている。企業や自治体において、事業運営を100%再生可能エネルギーにより行うことを目標に掲げる企業が加盟する国際イニシアチブ「RE100」や、企業に対し「科学的根拠に基づく「二酸化炭素排出量削減目標」を立てることを求めているイニシアチブ「SBT」、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので企業が中長期的な成長を目指すためにこれら3つの視点が重要であるという考え方である「ESG」の観点から再生可能エネルギーの利用価値が高まっている。

それに伴い、CO2排出量の多いガソリン自動車からEVへのシフトが加速しており、NTTグループとしても、企業による電気自動車の使用や環境整備促進を目指す国際ビジネスイニシアチブ「EV100」に加盟し、保有している一般車両を2030年までに100%EV化することを宣言している。

今回のトライアルでは、太陽光発電システムに加え、V2BによりオフィスビルとEVでの電力相互供給をIoTやAIで最適制御し、エネルギーコスト削減やCO2削減などの有効性を検証する。また、EVの遠隔制御は、低コスト、低CO2、ユーザーの利便性を高所いてクラウド機能として開発し、将来的には定置型蓄電池の活用についても検証を実施する予定。

太陽光発電システムで発電した電気をオフィスビルで自家消費しつつ、発電量、電力使用量、EV使用状況に応じて、クラウドからEVや定置型蓄電池を遠隔制御(充放電)。EV利用ユーザーの利便性を損なうことなく、エネルギーコストやCO2排出量をいかに削減できるかを検証する。

また、エネルギーコスト削減やデマンドレスポンスなどのエネルギーサービスの検証においては、電力小売電気事業者であるエネットと連携し効果の測定・分析を実施する。

今後、環境推進に取組む自治体や企業と意見交換を行い、検証内容を随時見直しながら進めていく考え。トライアル後は、実証結果を踏まえて改善を行い、2019年度末までにサービス化を目指す。