ディープラーニング用いて少量の血液で14種のがんを判定する試み

日本において、がんは死因の第1位である。その死亡者数は年間37万人を超え、増え続けている。日本人の2人に1人ががんを患い、死亡した人のうち3.6人に1人ががんによって亡くなっている状態だという。

厚労省「平成29年人口動態統計月報年計」にそのような実態が示されている。一方で、がんは早期発見が重要なのに、検診受診率は3割程度――。先進国中でも低水準にとどまっている。がん検診はがんの種類により異なる検査方法で体の部位・臓器それぞれを検査する必要があり、精度のばらつきや検診費用、身体的負担などが課題となっている。

そして近年、ExRNAの遺伝子発現量に着目した研究が多数報告され、各臓器のがんに特徴的なマイクロリボ核酸(miRNA)の存在がわかってきた。がんにより体液中で発現しているmiRNAの種類や量が変動する、ゆえに簡単に採取可能な血液等を使った診断方法が期待されているという。

PFNおよび同社とディー・エヌ・エーの合弁企業PFDeNAは10月29日、ディープラーニング(深層学習)技術を活用し、少量の血液で14種類のがん(胃、大腸、食道、膵臓、肝臓、胆道、肺、乳、卵巣、子宮頸、子宮体、前立腺、膀胱、腎のがん)を早期発見する検査システムの研究開発を始めると発表した。

国立がん研究センターにて提供者の同意を得て研究用に収集された血液検体(NCCバイオバンク検体)ならびに臨床情報を用いて開発を行う。PFDeNAは、同検体を個人が特定されない形で取扱い、次世代シーケンサーを用いてExRNA発現量を計測。PFNは、計測されたExRNAの発現量と臨床情報を、深層学習で学習・評価・解析する。これにより、14の種類別にがんの有無を高精度に判定できるシステムの実用化を目指す。

研究の成果は、PMDAの承認審査を経るなどした上で'21年に社会実装(事業化)、広く活用されていくことが目標だと両社はいう。