無料Wi-Fiなど使い、都市近郊の遊休地を有効活用する

日本の都市部近郊では近年、人口減少の影響を受け、低・未利用地や空き地の増加とともに、コミュニティの衰退が懸念される地域が生じている。また、いわゆる「2022年問題」により、低・未利用地や空き地は、都市部を含め今後さらに増えることが予想される。


首都圏、関西圏等の市街化区域における良好な環境の確保などを目的とし、保全すべきだとされた農地――生産緑地について、30年の指定期間、農業の継続を条件に固定資産税・相続税等の優遇措置があり、終了後は市に買い取りを求められる。多くの生産緑地は'22年にその期限を迎える。一方で、国交省定義による「低・未利用地」も問題になりつつあるという。

東京都市大学大日本コンサルタントの研究チームは、良好な都市環境を形成するため、都市部やその近郊にある低・未利用地や空き地の利活用について、実証実験を行っている。10月29日、大日本コンサルタント本社前駐車場を「低・未利用地」と仮定し、滞在・休憩・各種アクティビティができる共用スペースとして、種類の異なる用具(ウッドチェア、無料Wi-Fiなど)を一時的に設置、人の滞留に有効な機能、用具などを、利用者の滞在時間、立ち寄り率などの計測から明らかにする。

JR駒込駅より北へ本郷通りを約200m下った約150㎡の敷地。緩やかなカーブを描く坂の途中にあるため、敷地自体が不整形かつやや傾斜がついている。周辺には、六義園、旧古河庭園、染井銀座商店街、霜降銀座商店街等が立地していて、地域住民の他、観光・業務目的等での来訪者の往来も多いが、本郷通り沿いはベンチや広場等の滞留施設・スペースが少ない状況となっている。

対象地で行う今回の実証実験後、同チームは、共用スペースの活用に関するノウハウを取りまとめ、緑地や公園などの不足する地域において、自治体との連携も視野に、低・未利用地や空き地を活用したコミュニティの醸成を目指すという。