美術鑑賞用の解説を多言語で制作し、スマートフォンに配信

大日本印刷(DNP)の100%子会社で、美術関連のコンテンツビジネスを行うDNPアートコミュニケーションズは、美術館・博物館の作品解説を訪日外国人向けにスマートフォンなどに多言語で配信するサービスの提供を開始する。


東京国立近代美術館で2017年から先行導入され、2018年10月6日から2019年1月20日に開催されている所蔵作品展「MOMATコレクション」の解説を4言語(日本語、英語、中国語、韓国語)で体験できる。

このサービスは、最大10言語(日本語、英語、中国語(繁体・簡体)、韓国語、タイ語、ポルトガル語、スペイン語、インドネシア語、ベトナム語)で、作品の解説を「テキスト表示」と「音声自動読み上げ」で提供できる。音声は自動読み上げソフトを使用しているため、美術館・博物館が従来提供してきた人によるナレーションの音声ガイドの制作に比べ時間や労力を軽減できる。

また、DNPアートコミュニケーションズでは、長年の美術館・博物館関連事業で蓄積してきたノウハウにより、専門用語が多い美術関連において、高い品質の翻訳による多言語コンテンツを提供する。

美術館・博物館の作品を多言語で紹介するアプリは、モリサワが無料で提供している多言語情報プラットフォーム「Catalog Pocket」を活用しています。すでに訪日外国人向けにサービス展開しているアプリを活用することで、各美術館・博物館向けに独自にアプリを制作する必要がなく、スムーズで低コストでの導入が可能だという。

日本政府は2020年までに訪日外国人観光客数の目標を年間4,000万人と掲げるなど、その数が毎年増加しており、国内の様々な施設で多言語対応が必要になっている。そのような中、美術館・博物館においても同様の対応が求められている。

しかし、美術館・博物館では、多言語で作品を解説できるスタッフの確保が難しく、展示作品の背景も含めて正確に翻訳した情報を提供するにはコストと労力がかかることが大きな課題となっている。

これらの課題に対してDNPアートコミュニケーションズは、様々な美術鑑賞システムの開発業務に携わってきたノウハウを活かし、作品解説のコンテンツ制作から多言語への翻訳、アプリでの情報配信・更新まで一貫して対応するサービスを開始する。

サービス提供価格は、初期導入費が70万円から、更新費が30万円からとなっている(いずれも税別)。DNPアートコミュニケーションズは、美術館や博物館、企業や美術大学が運営する美術館などの施設へサービスを販売し、関連ビジネスを含めて2022年度までに1億円の売り上げを目指すという。