大手・新電気事業者とともに、EVにより建物の電力需要を削減する

地球温暖化への対策として、CO2排出量を減らす取り組みが各国で盛んである。昨今、電気自動車(EV)はその有力候補として大いに注目されている。一方、固定価格買取り制度「FIT」を背景に、太陽光などによる電力供給が増えた日本では、過電圧によるブラックアウトが危惧されている。


10月26日、九州電力、イーレックスおよび日産自動車の3社は、EVの日産リーフを活用し、法人顧客向けにEVの車載バッテリーからビルディングに放電することで最大需要電力(デマンド)を削減するV2B(Vehicle to Building)パイロットプロジェクトを、来年1月から共同で開始する。

法人顧客に日産リーフと充放電器を導入し、車載バッテリーの電気を活用(EVから放電)することによる顧客建物でのデマンドの削減効果を検証するとともに、非常用電源としての活用も含めた受容性について確認を行う。今回のプロジェクトを通じて、EVを活用した新たなサービスの創出に向けた知見の獲得を目指すとともに、今後の事業化についても検討していくという。各社の主な検証項目は次の通りだ。

九州電力('51年設立電気事業者):顧客の使用電力データ分析によるデマンド削減効果、将来の事業化を見据えた事業性評価
イーレックス('99年設立電気事業者):顧客車両の用途に応じたサービス適合性、顧客の受容性や満足度、ガソリン車とEVでの車両関連コスト比較
日産自動車:V2BによるEVの使われ方の確認

40kWhの大容量バッテリーとパワフルなモーターを搭載していて、EVならではのアクセルを踏んだ瞬間からのダイレクトかつクイックな加速レスポンスを研ぎ澄ますとともに、400kmの航続距離を実現している日産リーフへの充電は、顧客の使用電力の状況に応じて昼間時間帯でも可能であり、将来的には再生可能エネルギーの発電状況や需給バランスに応じたEVの充放電を検討するという。