AIにてテレビ視聴率の予測、新システムでより高精度に

われわれ市民が気兼ねなく無料で楽しめる。様々なテレビ番組はCMに支えられていて、いずれも視聴率が命である。業界関係者の間では、テレビCMの素材割り付けの高度運用と広告効果を高めることが望まれている。


複数ブランドのCM素材を予測視聴率に基づいて広告枠に割り付ける際、視聴率の予測を人が行えば、その業務負荷が膨大になる。AI(人工知能)によりそれを自動化すれば、業務の効率化においても大いに効果が期待できるという。

電通は、過去の視聴率データ、番組ジャンル、出演者情報、インターネット上のコンテンツ閲覧傾向などを教師データとするディープラーニングにより、放送前1週間のテレビ視聴率を予測するシステム「SHAREST(β版)」をデータアーティスト社(今年2月に子会社化)と共同開発し'17年6月にローンチ。そして今秋、同システムをバージョンアップした「SHAREST_RT」をリリースした。

名称にRT(最新トレンド)の意を込めた。新システムには東阪名3地区へのエリア拡大や、タイムシフト視聴予測への対応、予測対象ターゲットの拡大などを盛り込んでいる。投入変数の拡大などで、より高精度に放送前1週間のテレビ視聴率予測を安定的に行えるようにしたという。「SHAREST_RT」により、現在急速に広がりつつあるテレビCM素材の高度運用が叶えられる。

例えばターゲットの異なる複数のテレビCM素材を視聴率予測をもとに最適な番組でオンエアする素材割付が可能となり、結果として広告効果の最大化が実現できるようになる。新システムでは、予測精度を向上させるためのデータベース基盤「RICH FLOW」の構築も行っているという。電通は今後、安定供給可能なソーシャル関連データや天候関連データ、各種パネルデータ等を同基盤に投入――データベースの拡充により、さらなる予測精度の向上や予測対象指標の多様化を進めていく構えだ。