農業IoT、推進に向けてまずは通信サービスを事業化

日本の農業は今、65歳以上の担い手が6割を超えている。後継者不足を背景に年々就農人口が減少していて、生産技術やノウハウの断絶も危惧されている。そして、耕地の集約や農業法人の大規模化が進み、1経営体あたりの経営耕地面積は拡大基調にある。


そのため、ロボットやドローン技術、ICT(情報通信技術)等を活用した農作業の省力化・軽労化や高品質生産など大幅な効率化に向けた取組が求められている。が、多くの生産現場は環境整備の途上にある。例えば、稲作における水管理については日々の水回り作業に多くの時間を要している。作物の品質や収穫量の維持では、きめ細かな対応が必要となるが、関連するハードウェアの整備はあまり進んでいないのが実状だという。

IIJと住友商事は10月23日、国内外の農業にイノベーションを起こすことを目標に、先端農業に関する市場調査、製品開発、製造および事業化に関する業務提携を締結したと公表した。

両社は、今回の提携を通じて、水稲・小麦・大豆・サトウキビ等を対象に、農作業の効率化やノウハウの可視化を実現するため、製品開発や製造販売に関する取り組みを推進。まずは、農業生産者にとって使い易く安価な通信サービスの事業化に向け、住友商事が今夏戦略的提携を発表したJAみやぎ登米管内において、LoRaWAN等のLPWA(低電力広域無線網)技術と各種センサを用いた通信技術の実証を進める予定だという。

IoTシステムを構成するネットワーク、クラウド、デバイスゲートウェイやシステムのセキュリティ確保など、あらゆるものを「つなぐ」ために必要な要素技術を土台に、生産現場から家庭まで様々なシーンにて技術開発に携わっているIIJと、住友商事は、同提携により農業の効率化と生産者の利益を追求した新技術・製品・サービスの開発・展開を進め、国内外の農業を将来にわたり維持・発展させるための取り組みを加速させていく構えだ。