海のIoT、省電力広域無線網でマリンセーフティ

あらゆるモノをネットにつないでデータ分析などをする、「IoT」技術の適用がさまざまな産業から、医療現場や社会インフラにまで広がり始めている。IoT化の進展とともに、その基盤となる通信網および通信デバイスの性能や利用効率等が課題として浮上しつつある。


そこで現在、低消費電力で広域をカバーする無線通信技術「LPWA」が注目されていて、この技術規格の一つ「LoraWAN」の普及を、非営利団体で500社超の会員企業を抱えるLoRa Alliance™が、世界のIoT市場で推し進めている。今月23日、日本では、ルコントブルー、ファイトぺトラム、NTTドコモ九州の3社が、「Lora®」を活用した海の安心・安全の確保に向けた実証実験を沖縄県にて行うという。

海上における電波の届く距離や特性、および機器のデータ収集などを今年6月に実施。約10キロメートルまで通信可能であることを確認していて、誤差が数10メートル程度の正 確な位置情報の把握も可能であることから、沿岸および遠洋の海難事故に十分活用できると見込んだ。3社は今回、ライフジャケットにLora通信機とGPS受信機を取付け、沿岸のみならず、遠洋を含む海難事故の発生時に迅速に落水者の捜索を行うためのシステムの実証を行う。

沖縄におけるマリンレジャーおよび漁業など、海に関する人材育成を担っている県立沖縄水産高校の協力により、実習船「海邦丸五世」内にドコモ提供のゲートウェイ、LTEモバイルルーター、衛星可搬端末ワイドスターⅡを配置。船内とIoT無線通信可能なファイトペトラム社製GPS内蔵端末「マリンサーチ」付きライフジャケットを関係者に着用してもらい、使用感とともに、陸の携帯電波が届かない遠洋等でも活用できることを確認する予定だという。

実証実験の結果を踏まえて、3社は、同システムを本邦マリンレジャーの中心地「沖縄」から全国へ展開していく構えだ。