多職種連携SNSと連動した治療支援アプリ、中外製薬

中外製薬とエンブレースは、中外製薬が製造販売する免疫チェックポイント阻害剤「テセントリク(アテゾリズマブ)」による治療を受ける患者の副作用マネジメントを目的として、患者と医療従事者とのコミュニケーションを円滑にする多職種連携SNSと連動した治療支援アプリを開発し、提供を開始した。


治療支援アプリは、エンブレースが地域包括ケアシステムの構築に向けて医療介護従事者専用に開発した完全非公開型SNS「MedicalCareStation(メディカルケアステーション:MCS)」と、九州大学病院で使用されている「免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象(irAE)のチェックリスト」を基に作製した新たなWebアプリケーション。以下のような機能を備える。

・患者または家族による、患者の体調・気になる症状の入力
・定期的入力のお知らせ通知機能
・入力された体調、気になる症状の医療チーム全体への共有
・気になる症状の程度に合わせた患者・家族・医療チームへのアラート表示
・医療者と患者・家族の間のコミュニケーション

アプリを監修した九州大学大学院 呼吸器内科学分野 教授 中西 洋一医師は、「免疫チェックポイント阻害剤は、irAEが発現するなど、従来の化学療法とは異なる安全性プロファイルを有しており、患者、医療者それぞれにとって新たな課題となっています」と述べる。また、「この課題解決に向けICTの仕組みを活用することで、患者と医療従事者の距離が近づき、irAEの早期発見と対処を通じた重篤化の防止、さらには患者の安心感につながることが期待されます」と語っている。

同アプリは、2017年に開始した外来がん治療における服薬適正化支援アプリの試行より得られた成果をMCSと連動させ、免疫チェックポイント阻害剤における治療支援アプリとして新たに開発。医療専用SNSと連動した免疫チェックポイント阻害剤のアプリとして国内初のものとなるという。

また、アプリを用いたプログラムを実臨床で実施する妥当性については、MINS治験審査委員会において審議され、承認されている。また、多職種連携SNSとして全国に広がっているMCSをプラットフォームとして利用しており、拡張性があることも特色の一つだ。MCSは現在、全国で3万施設以上の医療関連施設で利用され、200以上の医師会で正式採用されている

アプリとMCSの連動により、患者を中心とした医療従事者間のコミュニケーションの活発化や、患者さんと医療従事者との円滑なコミュニケーションの促進が期待される。加えて、「免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象(irAE)のチェックリスト」に基づき、在宅時の患者の日々の体調や気になる症状などがタイムリーに医療従事者へ共有されるため、irAEの早期発見および対処につながることが期待されるという。