少子高齢化などの社会問題を抱える日本、国内の製造業では今、労働力不足の深刻化が懸念されている。手作業に依存している製造装置の保守点検作業の自動化や、故障予兆検知をシステム化するニーズが高まっているという。
各製造装置メーカーは、独自に制御装置のデータ取得や設備状態の可視化を試みている。が、製造装置全体の不具合を検知したとしても、故障部分の特定には熟練保守員の感覚による診断を要し、また、各部品のセンシングデータを取得した場合でも、部品の専門知識がなければデータ解析ができず、故障検知に至らないケースが多くある。
さらに設備状態を可視化するIoTシステム構築には、工場内ネットワークとの接続などIT(情報技術)に関する専門知識と多額の初期・運用費用も必要となる。ゆえにこのようなシステム自体を導入できない場合も多いという。THK、NTTドコモ、シスコシステムズの3社は、簡単・安全・グローバルに運用可能な製造業向け予兆検知アプリケーション「OMNI edge」を構築し、来春の商用化をめざしている。
商用化に先立ち、2月より50社で無償トライアルを実施する。今回の新IoTサービスは、エッジに配備する「THK SENSING SYSTEM」と、シスコのエッジコンピューティングルータないしIoT専用スマホで集約したデータを、ドコモのモバイル回線経由でデータセンタにセキュア収集し、予兆検知を実現する。LMガイドの状態診断や、装置の事前保守が可能なアプリケーションとする。
「OMNI edge」は、IoT化に必要なデータ収集・蓄積・分析向けに設計・構築作業を自動化。ITエンジニア不在の現場でも簡単かつ短期間で導入できるうえ、保守運用のトータルサポートにより、顧客の負担を軽減するという。目標を掲げた3社は、同サービスの商用化により、製造現場の持続的な生産性向上に貢献していく構えだ。