日立、生産工程全体のデジタルツインの実現を目指したサービスを提供

日立製作所(日立)は、生産設備の稼働状況や環境情報などのOT(制御・運用技術)データおよび生産計画や在庫管理などのITデータをデジタル空間上で紐付けることで、継続的かつタイムリーなAI分析やシミュレーションを容易にし、生産工程全体の最適化を支援するソリューション「IoTコンパス」を2018年11月19日から販売開始する。


IoTコンパスは、鋳造やプレス加工、溶接、塗装、組み立てなど様々な生産工程における業務と、各業務で発生し点在するOT/ITデータを、データ間のつながりで定義・連結する独自のデータモデルによって紐付け、必要なデータの抽出や分析を容易にするというもの。

これにより、従来は専門的な知識や膨大な時間を要していた複数工程のOT/ITデータの利活用を促進し、外部環境にあわせ組み替えが頻繁に行われる複雑な生産ラインにおいても、データ分析から得られる予測を常に更新しながら、生産計画の最適化や安定稼働など現場改善へ適用することが可能になる。

このソリューションは、トヨタ自動車との高効率生産モデル構築に向けた協創の一環として、自動車製造を担うモデル工場での共同実証に先行適用している。

近年、製造業では、顧客ニーズの多様化やデジタル化の進展などにより、市場環境が急速に変化しており、デジタルツインの考え方に基づいた高効率な生産システムの構築が注目されている。

その実現には、生産現場の各工程に点在する多種多様な現場データを集約して工程全体をデジタル空間上に再現し、全体最適化視点によるデータ分析を継続的に試行することが重要。

しかし、各工程に保管されている様々な設備稼働データや個別に構築している各種業務システムのデータを統合し分析するためには、データサイエンティストなどが有する高度な専門知識と膨大な時間が必要となる。工程全体のデータを分析して得られた予測をタイムリーに現場改善に反映する上で大きな課題となっていた。