全インド医科大学の病院にて消費電力30%削減をめざす

人口約13.5億のインドは、近年の急速な経済発展に伴い社会インフラの整備が急務になっている。慢性的な電力不足や公共施設の老朽化などの課題を抱え、医療分野では、一部の高級私立病院を除き満足のいく医療サービスが提供できない状態にある。


なかで4年前に同国の健康家族福祉省(MoHFW)が「Green AIIM構想」を発表。高等教育機関兼病院である全インド医科大学ニューデリー校(AIIMS New Delhi)をこの構想実現のショーケースにしたいインド政府の意向が示されたという。日本の国立研究開発法人NEDOは、'16年11月にMoHFW及びAIIMS New Delhiと、同校の病院全体のエネルギー削減およびICT(情報通信技術)を活用した医療データの有効活用事業を行うための基本協定書(MOU)を締結。

そしてこれまで、日立製作所および日立インド社を委託先に選定し、太陽光発電を含めた省エネ機器など高効率なユーティリティ設備への更新、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入と高効率ストレージ・サーバを用いた病院全体のITシステムの構築に取り組み、省エネの実現および同病院業務の効率改善を実証するためにプロジェクトを進めて来たという。

NEDOは今月18日、両社とともに、設備の設計、設備機器の製作、据付・試運転が完了し、病院全体のエネルギー削減およびIT/ICTシステムを活用した医療データの有効活用を検証する事業(国際実証プロジェクトNo.80)の実証運転を開始したことを明らかにした。

同事業では、従来進めてきた取り組みにより、病院全体の電力使用を最適化し、'14年度実績比で消費電力を30%削減することを目指す。そして、エネルギー制御だけでなく、医療情報データを一元的に管理・活用し、エネルギー最適管理、診療効率とシステムの改善を行うIT基盤を構築、運用し、その有効性を検証するという。