その有病者数は世界で4億超だという。厚労省の平成28年「国民健康・栄養調査」では、その予備軍も含めた数がおよそ1000万人と推計されている。糖尿病の治療・予防においては、患者が自身の血糖値を継続的に把握し、血糖値をコントロールすることが大変重要となる。
そして近年、継続的な血糖値モニタリングへの需要が高まっているものの、従来手法は皮下にセンサーを埋め込むなど侵襲性があり、高価でもあるため、幅広い活用や予防への展開が困難だった。一方、血糖濃度と相関のある涙液糖(グルコース)に着目したコンタクトレンズ型血糖モニタリング技術も注目されているが、これまでの技術では無線給電専用のメガネ型端末とともに使用する必要があったという。
名古屋大学の研究グループは、世界最小クラスの発電・センシング一体型血糖センサーを新たに開発。これにより、外部からの無線給電などが不要なコンタクトレンズ方式による持続型血糖モニタリングが実現可能になったと今月17日公表した。
超低消費電力の無線送信器回路と、涙に含まれる糖で発電する固体素子型グルコース発電素子で構成される自立動作可能な血糖センサーを用いて、持続型血糖モニタリングコンタクトレンズを試作したという。研究グループは、涙液糖濃度によって変化するグルコース発電素子の出力電圧を、半導体ICにより無線発信頻度へと変換することで発電とセンシングの同時動作を実現した。
0.6mm角のグルコース発電素子で1nW超の電力を生成し、半導体無線送信器を従来比1万分の1程度の0.27nW(電源電圧:0.165V)で駆動させることにも成功した。両技術を融合した血糖センサーによる、低侵襲かつ自立動作可能な血糖コンタクトレンズの開発および糖尿病医療・予防への貢献が期待される。今回の研究はJSTさきがけ等の支援を受けて行われたものであり、成果は国際会議「BioCAS2018」で発表される。