あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代に入り、コネクテッドカーの開発が加速している。車両とデータセンタ等とをつないで、ドライバに保険契約やメンテナンスの予告をしたり、天候等による危険性を回避したり、同乗者へエンタメ情報を提供したりするしくみは、自動運転時代にも活きる。
なかでも車両データは特殊であり、その扱い方の習得を要するため、IT系ソフトウェア技術者にとってコネクテッドカーアプリの開発は困難だし、実車テストでは難しい条件でのアプリ開発も必要だという。ルネサスは、車両データを活用したクラウド連携サービス開発に拍車をかけるため、車載用システム・オン・チップ「R-Car」に対応する「コネクテッドカー用ソフトウェア開発ツール(SDK)」の提供を開始する。
アクセルやブレーキ、ハンドル角度などW3CのVehicle API規定を含む車両データを使用できるシミュレータと、車両データを管理するエッジコントローラ、ドライバモニタリングなどのアプリと連携するVehicle API、そしてAWSクラウドと接続するインタフェースを新開発。これにより、AWS IoT Framework for AGLなどのクラウドサービス群と、車両データを連携したサービス/アプリ開発が机上で可能となる。
完成したソフトウェアをR-Car上で動作させる、SDKのユーザーは、走行状況やドライバの状態など車両側のデータと、工事や渋滞などの道路状況や天候、地図などクラウド側のデータとをリアルタイムに組み合わせて、天候と空気圧の状態から最適なルートを推奨するサービスなどの開発ができる。ルネサスのオプションAPI「感情エンジン」 によってドライバの感情を認識し車に伝えることも可能だという。
新開発SDKの評価版はR-Carコンソーシアム会員向けに12月より提供を始め、'19年第1四半期に商用版の提供を開始予定とのことだ。