LEDで無線通信、最大通信速度は約750Mbpsを実現

凸版印刷は、LEDの光を利用してデータ通信を行う「光子無線通信」技術で、大容量データの無線通信を可能にする新ソリューションの提供を2018年10月下旬に開始する。閉鎖空間や水中など通信環境を整備しにくい場所でも大容量データの無線通信を実現できるという。


モバイルネットワークの普及やクラウドサービスの拡大、IoTの進展などに伴い、データ通信量は大幅に拡大している。そのような中で、電波が届かなかったり、通信ケーブルの敷設が難しいなどの理由で、通信環境を整備しにくい場所であっても、大容量データの無線通信を行いたいというニーズが高まっている。

凸版印刷はこうしたニーズに応えるため、光子無線通信技術を活用した新ソリューションの提供を開始し、増え続ける通信需要のための通信インフラ強化の実現に貢献し、社会課題の解決を目指す。

今回提供されるソリューションは、クオンタムドライブが保有する「光子無線通信」技術と、その基礎技術のもと、電気興業が開発・製造する無線通信機器を活用し、凸版印刷が用途開発および販売し、3社共同で推進するものだ。

光を用いた通信であることから、従来のような通信ケーブルの設置や電波が不要なため、河川や道路間など通信ケーブル敷設が難しい場所での監視カメラ設置や、電波が届かない水中やトンネル内での映像伝送、電磁ノイズなどにより安定した通信が難しい工場内のデータ伝送、建設機械やロボットなどの遠隔操作にも応用できるという。

最大通信速度は約750Mbps(凸版印刷の実験値)。大容量・高速通信が可能なため、4Kなど高解像度の動画データでもスムーズに送受信できるという。

本格販売に先駆け、ユニカが西武新宿駅前で展開する屋外デジタルサイネージ「ユニカビジョン」と、大通りを挟んで向かい側の特設カフェとを結ぶ通信回線として2018年8月27日から9月2日まで導入。ユニカビジョンの映像と特殊音声を特設カフェへ伝送する仕組みの提供を行っている。

同社は、2025年に約50億円の売り上げを目指して、光子無線通信技術を活用したソリューションを様々な用途に向けて展開していく。