IoTやAIなどの先進技術を活用して作業効率や生産性の向上をめざす、取り組みが様々な現場に広がり始めている。近年、あたかも現場にいるような体験ができるVR(仮想現実)も、熟練者の技やノウハウを伝承する目的などで威力を発揮しつつある。
ネット経由でITシステムとつながるウェアラブル端末によって、現場の作業者を遠隔地の専門家やベテラン技術者が支援する時代がやってきた。今日、"変化をチャンスにさらなる成長へ挑戦する"グループの中期経営方針を掲げ、施策を展開している、東北電力は、「IoT・AI・ビッグデータなどの新たな情報技術を活用した、既存の事業領域における設備運用の高度化・効率化」に取り組んでいる。
変電所の運転保修業務効率化・安全性向上の研究・実証検証を'16年度より東芝グループと共同で行っているという。東芝エネルギーシステムズと東芝デジタルソリューションズは、東北電力の変電所を管轄する23電力センターに、「スマートグラスを使った遠隔作業支援サービス」を導入・配備し、東北電力はこれを10月より管内600箇所以上の変電所で運用開始した。
上記検証中、その有効性が高く評価された同サービスでは、スマートグラスを通して、現場の業務従事者と遠隔支援者が同じ映像を見て情報を共有し、相談しながら業務を行えるので、現地確認や打合せなどの現場業務の効率化が図れる。また、事故・トラブル等の際、現場映像をテレビ会議システムに接続して、複数の事業所で情報共有するなど、さまざまな応用が期待されるという。
今回のしくみは電力流通分野の機器・装置製造で培った業務知見をベースに、オプティム社の遠隔作業支援サービスを採用して設計・構築したという。両社は、東芝IoTアーキテクチャー「SPINEX™」に基づくデジタル技術を活用し、今後も変電所の運転保修業務の効率化や安全性向上を実現するサービスを目指していく考えだ。