働き方改革、さらに健康を主軸にした経営が注目されている。日本では経産省が平成28年度に「健康経営優良法人認定制度」を創設し、今年8月1日現在に539の大規模法人、775の中小規模法人が認定されている。
一方、海外では「座りすぎ」により死亡リスクが1.4倍になることが注目されている。肥満、体重増加はもとより、糖尿病、がん、冠動脈疾患も座位時間と正の相関を示していて、座位行動と健康リスクの関係は疑いの余地無しとされている。そんな世界の20ヶ国で調べた結果、平日に座っている時間は平均5時間。日本はサウジアラビアと並び世界一長く座っている民族だという。
男女別では日本人女性が8時間で単独1位、日本人男性が7時間でサウジアラビアとともに1位。そして、日本全国の20~60代のオフィスワーカー1200人を対象に行った実態調査によると約7割が座りっぱなしだったとして、これらのデータを紹介しつつ「立ち姿勢を取り入れた新しい働き方」を提言中のオカムラと、ISID、明治安田厚生事業団はともに、オフィスリノベーションによる働き方改革が社員の健康や行動に与える影響を明らかにすることを11日発表した。
3社は共同実証実験をすでに開始。計測・記録データをもとに分析・プロトタイピングに着手していて、人工知能(AI)を用いて社員の行動を可視化するシステムを構築し、生産性と健康を向上させるオフィスの実現を目指している。
働き方改革系の様々な施策は、生産性向上、コミュニケーション活性化、「座りすぎ」解消などの健康効果が期待される。が、環境と行動の相関計測手法は未確立で、その効果は見えにくい。ゆえに今回、オフィスリノベ前後の定点カメラ映像をディープラーニングにて分析・可視化、これを活動量計やアンケート等の個人データと組み合わせて検討し、リノベ前後での行動変化が心身の健康度や労働関連指標の改善につながるかを検証するという。