RFID、バッテリーレスで書き換え可能な電子ペーパータグ登場

様々なモノのデータをネットワーク経由で集約して即座に分析し、製品やサービスの質を高めたり、新しいビジネスを展開したりするためのしくみ「IoT」は今、あらゆる産業、社会基盤や医療・ヘルスケア分野にまで広がりつつある。流通するモノなどのデータ化では、無線タグも活用され始めている。


近距離無線通信が可能な電子タグに認識情報(ID)を埋め込んだRFIDを用いて、商品の売り上げや棚の管理、サプライチェーンでの品物の動きが追跡できる。半導体チップによる非接触IDカードは交通系のそれや社員証などでも馴染み深い――が、IDを機械的に読み取るRFタグでは、人が直接その情報を知ることはできず、製造・物流現場などで指示や仕向け地を一目で確認することもできない。

そこで、人の眼が必要なところでは電子ペーパータグが使われている。けれども従来の電子ペーパータグは、あらかじめ内蔵メモリに保存されたデータを表示するだけだったという。富士通セミコンダクターは、FRAMを使用することで、画像データを任意に転送かつ短時間で書換え可能とした。そして今月10日、電子ペーパーの表示をUHF帯無線給電によりバッテリーレスで書換えられる技術を台湾のE Ink社と共同開発し、電子ペーパータグ作りを容易にするリファレンスボードの提供も開始することを発表した。

今回の新技術は、バッテリーレスソリューション向けのUHF帯RFID用LSIによって実現。同LSI「MB97R8110」のユーザーメモリ領域には、不揮発性、高速書込み、低消費電力が特長のFRAMを使用している。近接通信(NFC)では密着のみであったデータ書換え時の通信距離を大幅に改善し、電子ペーパーとUHF帯RFIDを組み合わせた新たなアプリケーションの創造が期待できるという。

バッテリーレスソリューションは「CEATEC JAPAN 2018」のE Inkブースにて披露される。