EV活用によるバーチャルパワープラント構築へ

電気自動車(EV)の普及が見込まれる。日本では最近、自然災害が原因の停電により、電源や送電網のあり方が改めて問われている。と同時に、分散型のエネルギーリソース、一般家庭の蓄電池や企業の自家発電装置などをまとめて電力供給源とする取り組みが急がれている。


IoTを用いた高度なエネルギーマネジメント技術により小規模電源を束ね(アグリゲーション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用できる。「バーチャルパワープラント(仮想発電所)」は、負荷平準化や再生可能エネルギーの供給過剰の吸収、電力不足時の供給などの機能として、電力システムでの活躍が期待されている。(出典:資源エネルギー庁Web

今月4日、東北電力、日産自動車、三井物産、三菱地所は共同で、EVの蓄電池を活用し電力系統に接続して充放電する技術「V2G」の構築に向けて、来年3月31日まで実証プロジェクトに取り組むことを発表した。移動手段としてだけでなく、電気を貯めて取り出せる装置としての利用も始まっている。EVを軸にした同プロジェクトでは、自然条件により出力が変動する"再エネ"の導入拡大に対応するため、電力需給バランス調整機能の実現可能性を検証する。

東北電力は、資源エネルギー庁の補助事業(V2Gアグリゲーター事業)を行っていて、今回の実証プロジェクトはその一環――。4社は、仙台ロイヤルパークホテルの駐車場に設置する充放電スタンド2台と、宿泊者等に日産のカーシェアリングで提供するEV2台を使用し、新たに開発する遠隔監視・制御システムによりEV蓄電池の充放電を制御しつつ、上記検証を行う。

V2Gの実証試験とカーシェアリング事業を通じて得られた蓄電池の使用状況、EVの利用状況等のデータは、移動手段としての利便性を損ねることなく、駐車時にも付加価値を生み出す新たなビジネスモデルやサービス開発の検討材料にする構えだ。