農業IoT、クラウドサービス基盤を異業種にも幅広く

IoTやAIといった先進技術の活用が産業界に広がりつつある。日本でも今、ICT(情報通信技術)を生産者の知恵やノウハウと融合して、生産量・効率を向上する取り組みが台頭している。


農業分野では、農機具をネットにつないで自動化したり、ドローンで育ち具合を観察したり、各種環境センサーからのデータを生産工程に活用したりといったデジタル変革が進められている。ハウス栽培でも、温度・湿度・照度・CO2濃度などの測定と、暖房機の運転を連係し、ネット経由で送られてくるそれらの時系列データをスマホのグラフ等で確認できる仕組みが商用化されている。

センサーやネットワークなどを利用して農地データの見える化や遠隔制御、コミュニケーションを施設園芸で実現する農業ICTクラウドサービス「アグリネット」を3,000以上の農家へ提供している。温室用温風暖房機トップメーカーのネポンと、IoTソリューション「CONNEXIVE」により農作業の省力化などを支援するNECは、両社が開発・提供する同クラウドサービス基盤について、アライアンス事業を開始する。

パートナー企業による再販や他のサービス・機器との連携を行うアライアンス事業では、同基盤のパートナーブランドでのサービス化なども推進。食品加工・畜産・水産・製造・医療など幅広い業種への基盤提供を推し進めて事業拡大を図る。たとえば、ハイテムとは養鶏場向けオートメーション機器稼働・作業工程の一元管理と可視化により業務効率化と経営改善を実現する。

ミガキイチゴのGRAは同基盤を自社ブランドサービスパッケージとして、新規就農者向けにハウスの遠隔管理・営農指導を行い、日本IBMは同社クラウドとの連携によりハウス内環境制御の完全自動化と、AIを用いた次世代の農業ICT価値を訴求していくという。NECとネポンはすでに8社との協業を始めていて、今後3年間で合計50社との協業を目指している。