顧客の声を約1,300種類に分類・可視化する「感情分析サービス」

日立製作所(日立)は、SNSやテレビ、新聞といったメディア情報、ブログ・口コミ情報、コールセンターの会話記録などから、顧客の声を約1,300種類の話題・感情・意図に分類・見える化する「感性分析サービス」を提供開始する。


感性分析サービスは、自然言語理解分野で豊富な実績を有する徳島大学発ベンチャー企業の言語理解研究所(ILU)の感性分析AI(人工知能)である「ABスクエア」を活用し、本田技研工業(Honda)と共同開発したもの。

テキストデータを約1,300種類の話題・感情・意図に分類できるILUのAI技術を適用。例えば、「好意的」「中立」「悪意的」の3大分類と、さらに細分化した全81種類の中から感情を特定できるなど、高精度な感性分析を実現する。

ILUが約30年にわたり蓄積した辞書データベースは7.6万種類の単語知識と400億パターン以上の意味共起知識の組み合わせから構成している。意味共起とは、一つの文章の中に、ある単語とある単語が同時に出現しやすいパターンのこと。例えば、選挙に関する話題の中では、「選挙」という言葉と「出馬」という言葉などは同時に出現する場合が比較的多いなどが挙げられる。

また、文章に込められた感情や意図など文字では読み取れない間接的な意味も高い精度で理解することが可能だ。

ブログ・口コミ情報などリアルタイムかつ大量に発生するデータから顧客の声を正確に分析するためには、言葉の流行や変化に応じて絞り込み条件を定期的に見直すなど、精度を維持するための運用負荷が課題となっている。

今回開発したフィルタリング技術は、収集したデータから関連性の高い単語を機械学習し、絞り込み条件を自動更新する技術。流行語や造語、専門用語など絞り込み条件にあらかじめ登録されていない単語であっても、出現頻度や単語間の係り受けの関係から分析対象になるか否かを判断する。辞書メンテナンスに要する作業負荷を抑えながら、絞り込み精度の維持・向上が図れるという。

テキスト化されたメディア情報などから企業や商品に対して抱かれている感情を高精度に分析する。また、各種業務システムと連携し、分析した顧客の声を売上実績や見積りといった業務データとかけ合わせることで、ブランド戦略に限らず、販売・生産計画や商品開発、リスク対策など様々な企業活動に活用することが可能。

また、分析したデータは、感性に関する情報だけでなく、単語間の関係性を示す情報もタグ付けし、利用者は単語一致ではなく話題一致で検索できる。

サービスの提供開始に先行し、2018年4月より、Hondaの広報・マーケティング活動に適用。新車発表やイベント出展の反響分析として、イメージや感情を、車種別やトピック別など、より精緻に可視化し、分析やレポート作成に要する業務負荷を軽減できるなど一定の効果を得ているという。