具体的には、マンションのエントランス付近に専用の受付ユニットを設け、居住者が希望するタイミングで配送ロボットが宅配物を玄関前まで届けるサービスの実現を目指す。これにより、居住者の利便性向上と再配達問題の解消に貢献したい考え。4社は今後、システムの実現に必要な技術開発や検証を推進し、2021年度のサービス化を視野に入れている。
近年、EC市場の拡大などに伴い、宅配物の配送量は増加の一途をたどっている。宅配物の再配達については、配達員の不足や配送車両によるCO2排出増加の観点から社会問題にもなりつつある。
マンションにおいては、再配達を削減する手段として宅配ボックスが普及しているが、宅配ボックス内の荷物が数日間滞留することで満杯になったり、荷物の重さによって居住者がエントランス付近の宅配ボックスから自宅まで運ぶことが負担になるケースが発生している。
こうした背景のもと、配送ロボットを活用したマンション内の宅配サービスの実現に向けて、インターホンシステム大手のアイホン、エレベーターとマンション向けITシステムを手掛ける日立および日立ビルシステム、宅配ボックス大手のフルタイムシステムの4社による協創を開始する。
今回のシステムは、エントランス付近に設置する専用の受付・保管システム付フルタイムロッカー(宅配ボックス)と、配送ロボットで構成。宅配業者が受付ユニットに荷物を預け入れると、保管ユニットに収納され、一時保管する。
着荷情報は居住者のスマートフォンに専用アプリで通知し、住戸内インターホンの画面にも表示。居住者がインターホンから配達依頼を出すと、荷物をフルタイムロッカーから取り出し、配送ロボットが館内を移動して玄関前まで届け、インターホンを呼び出す。
フルタイムシステムが受付ユニットおよび居住者用アプリ、アイホンが住戸内インターホンでの表示・呼び出し機能、日立および日立ビルシステムが、従来提供しているエレベーターやインターホンシステムと宅配ボックスを連動させるシステムをもとにした、配送ロボットの制御システムを担当する。
配送ロボットについては、工場向けなどで実用化されている製品を活用する予定。4社は、2021年度のサービス化を目指し、新築マンション向けに提案していくという。