情報通信
IPアドレス不要、NB-IoTの商用サービス試験に世界初成功!
第4次産業革命が進む。要素技術のひとつであるIoT(モノのインターネット)は、社会インフラの中にも展開されつつ、医療・ヘルスケア分野のデジタル化も後押ししている。より以上の活用や普及を望むなら、インターネット利用にまつわる様々な課題の解決が必要になる。
いま日本でも、河川監視のカメラ等へのサイバー攻撃が問題視されている。セキュリティ対策の進んだPCなどを攻めるよりも効率良く、かつ社会へのダメージを大きくできるインターネットプロトコル(IP)によるIoTデバイスは、攻撃者にとって"安全なハニーポット"だ。また、善良なるIoT活用者にとって、IPベースのしくみはセキュリティ対策の負担に加え、通信データ/消費電力量、通信範囲などが懸念される。
そこで、移動通信システムの仕様をグローバルで標準化する「3GPP」では、IoTデバイス向け狭帯域通信規格NB-IoTにおいて、「NIDD(Non-IPデータデリバリー)」を新たに規格化。ルーティングやアドレス、名前といったIPの縛りから解放され、ネットワークを自由にできる非IPの世界を実現しようとしている。そして9月28日、ソフトバンクは、このNIDD技術の商用環境での接続試験に世界で初めて成功したと発表。
IoTデバイス通信にIPを使わないことにより、悪意のある攻撃を受けにくく、安全性の高いネットワークを構築できる。従来要したヘッダー情報等の削減によって通信の所要電力が抑えられ、バッテリーを長持ちさせられる。より広いエリアのカバーも可能になり、各サービスプロバイダーが提供するIoTプラットフォームや外部アプリケーションサーバーと閉域網で接続し、エンド・ツー・エンドで高セキュリティーネットワークが構築・運用できるという。
同社は今後、既存IP網サービスに加えて、商用NIDDによる防犯や社会インフラ、農業など多様な領域での事業をめざす構えだ。