インドの医療機関でAI画像診断支援の実証実験を完了

NTTデータと、NTTデータのアメリカ子会社であるNTT DATA Servicesは、インドのDeenanath Mangeshkar病院(ディーナナス・マンゲッシュカー、以下、DM病院)にて、2018年春にAI画像診断支援ソリューションの実証実験を実施した。


X線、CT、MRIなどの人体画像に基づく、重大な症状の診断は、専門医である放射線科の医師が行うことが一般的だが、画像は多い場合1人600枚ほどになり、診断に時間を要している。また、放射線科医が不足し、一人でも多くの患者を診断するために、効率よく診断できることが重要になってきており、AI(人工知能)技術の活用が注目を集めている。

NTT DATA Servicesでは、医療画像のアーカイブソリューション「Unified Clinical Archive」(以下、UCA)を約1100の医療施設に提供している。NTTデータは、UCAで培った実績を生かして、AI画像診断支援ソリューションを開発しており、今回病院側の協力を得られたインドで実証を行うことにした。

AI画像診断支援ソリューションは、患者の医療画像をAI技術で分析し、疾患の可能性がある箇所を画像上とテキストで示す。UCAはクラウド型のソリューションとして北米3位のシェアを持ち、190億枚をこえる画像をアーカイブしている。

NTTデータは、UCAの顧客の協力と蓄積したノウハウに加えて、医療画像に疾患情報ラベルを付与するアノテーション・ソリューションをもつアメリカのMD.aiと提携することで、AI画像診断支援ソリューションを開発している。

今回の実証はNTTデータのインドにおけるパートナー会社であるDeepTekと連携して行った。実証は、肺気腫を対象に患者データ389名分のCT画像をAI画像診断支援ソリューションで診断。従来の診断では、17件の肺気腫が報告された一方で、このソリューションは56件を検出。差分は、医師が緊急の治療が不要と判断した軽度の肺気腫であることが分かり、がより網羅的なレポート作成や、将来のリスクを含めた診断の支援が可能であるといえる。また、誤検出は結核患者を抽出していることが判明し、先進国ではあまり見られない結核が影響したことが分かった。

同社では、2018年度中に日本の病院との実証実験も予定している。この実証で得られた結果を踏まえ、病院の協力を得た技術開発、実証実験を加速させ、2022年までにグローバルで100億円の売上高を目指す。