高度自然言語処理プラットフォームで都市型防災、VRにて消火訓練も

我々が日常的に使っている言葉をコンピュータで扱うことを自然言語処理という。現在それは、膨大な情報の整理・検索・分析などを人間の能力を超えて可能にする人工知能(AI)の重要技術の一つになっている。


日本は、超高齢化・人口減少、国および国民の安全安心の確保、自然災害への対応、サイバーセキュリティ、医療・ヘルスケアなどの分野で様々な課題を抱えていて、これら社会課題に対して、人類が築いてきた膨大な知識体系や人間活動をベースにした自然言語処理技術への期待が膨らんでいる。それは大規模な計算機資源や研究投資、長年のコーパス・辞書等に係る研究実績を要する基盤的技術だと、総務省の資料は解説する。

情報通信プラットフォーム社会実装推進事業の一つ、NICTが研究開発を進める「高度自然言語処理プラットフォーム」について、これを用いた都市型防災訓練を、今月29日東京都江東区の豊洲エリアで、アビームコンサルティングとNECが行う。訓練には協賛企業として清水建設と、フードトラック事業者ネットを構築しているmelowも住民とともに参加するという。

豊洲エリアは、地震発生時の地区内残留地区として東京都に指定されるなど災害への耐性が比較的高い一方、外部の状況を早期に把握したいニーズや、住民による情報発信効果もあると推測。都市部・高層マンション地域・住民参加型防災訓練の先駆けとして、同エリア全体で災害時対応の取り組みを推進する。

今回、アビームコンサルティングは、住民のSNS投稿訓練や投稿情報の中から「高度自然言語処理プラットフォーム」により被害状況の把握や危機対応に必要な情報を取り出す訓練、地域防災のさらなる強化に向けた策の検討などを支援。NECは、SNSから必要な情報を抽出・集約するとともに直観的で分かりやすいUIを開発し、同プラットフォームの強化に貢献し、「VR消火体験シミュレータ」による訓練環境の提供も行う。