自然言語処理AI、まずは製薬業界の業務を高度化

昨今、人工知能(AI)による自然言語処理の研究開発が進んでいる。この技術では、単語や文脈、文章の意味的な特徴をAIに学習させることが可能になりつつあり、自由に記述したテキストデータを含むビックデータから、目的に沿った見つけ出したいデータを抽出――。


しかし通常それには導入時のデータ分析・整備、学習等に多大なコストと時間を要するという。TISは、'17年にAIサービス事業部を立ち上げ、特に自然言語の分野では多様な独自技術を活用したサービスの開発を進めていて、今月21日、FRONTEOとパートナー契約を締結したことを発表した。両社は今後、FRONTEOのAIエンジン「KIBIT」を活用したソリューションの展開、提供を共同推進していく。

テキストに特化したAIの研究開発を行うFRONTEOが創出した「KIBIT」は、国際訴訟における証拠の発見という業務において培われた大量のテキストデータから抽出される弁護士の経験や勘に基づく知識である「暗黙知」をベースとして、データ分析の現場を通して集積・体系化されたノウハウが実装されていて、わずかな教師データからそれを選んだ人間の機微や経験、判断に基づく暗黙知を学習できるという。

少量の学習データから見つけたいデータを抽出する、テキスト解析の強みを活かす。協業の第一弾として、両社は「製薬業界向けのソリューション」および「特許調査支援のソリューション」の提供を共同で行う。

メディカルドライブ」などでの業務ノウハウと、ビジネスデータ分析支援システム「KIBITナレッジプローブ」によって、MR(医薬情報担当者)の日々の膨大なコミュニケーション/テキストデータを分析し、円滑な情報伝達と新たなビジネス機会の創出、リスク回避を支援する――。一方、化学・製造業界では、「KIBIT パテントエクスプロア」によって、多様なシーンで特許実務を強力にサポートする構えだ。