来夏、AI救急相談自動応答システムという選択が活きる

今年の夏は、救急サイレンの音がひっきりなしだった。消防庁の「熱中症情報」サイトをみると数字とグラフでその凄まじさがわかる。にしても、119番通報と救急搬送は、熱中症に限らない。加えて、急な病気や怪我に遭ったとき、とりあえずの処置や受診すべき医療機関を聞きたい場合もあるだろう。


そこで埼玉県では、救急医療体制の充実を目的として、急病や怪我への対処方法を相談し、医療機関の案内を受けられる"救急電話相談"を実施。昨年10月からは24時間365日体制で相談を受け付けている。同県の救急電話相談数は年間約15万件にも及んでいて、これらに担当看護師が1件1件対応し、利用者毎に、緊急度や医療機関受診の必要性などをアドバイスしている。

ゆえに同県は人工知能による「AI救急相談自動応答システム」開発の一般競争入札を実施し、その結果を公表――。落札者のNECは9月21日、県民の急な病気や怪我による救急相談の利便性向上と、適正受診の推進による救急医療機関の負荷軽減に向けて、AIを活用したチャットボット(自動応答ソフトウェア)による同システムを、'19年7月から本格稼働させる予定だとした。

従来の電話による救急相談対応に加え、AIチャットボットによる救急相談の自動応答サービスの提供は全国初(同社調べ)だという。NECが構築する「AI救急相談自動応答システム」は、最先端AI技術群の一つ「テキスト含意認識技術」を活かした「NEC 自動応答」を用いて、スマートフォン等からいつでも相談できるチャット形式による救急相談の自動応答サービスを提供する。

同システムの導入により、県民への「手軽につながる救急相談」を可能とするサービスの提供とともに、相談員による応対業務の負荷軽減も実現する。また同システムは、聴覚・音声・言語機能に障害のある人も利用できるため、県民へのサービス向上とダイバーシティの実現に寄与するという。