黒部川水系水力発電所でダム運用効率化システムを構築

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ダムの貯水池運用の効率化・高度化による水力発電所の効率運営を目的に、黒部川水系の水力発電所でダム向け運用システムの構築、効果の検証に着手する。


国内では人口減少と少子高齢化の進展を背景に、社会インフラ分野において、設備の老朽化や団塊の世代の退職による技能伝承の停滞、需要減少に伴う投資対効果の低下に直面している。こうした課題に対して、IoT(モノのインターネット)技術の活用による社会インフラの運営効率化を図ることが期待されている。

水力発電に関しては、細かい運用ノウハウを熟練技能者の経験に依存しているところもあり、ビッグデータ解析などで最適運用の形式知を実現し、発電所の運用効率化を図ることが求められている。

このような背景のもと、NEDOは、ダムの貯水池運用の効率化・高度化を図り、水力発電所の運用を効率化することを目的に、降雨・降雪量が多く、水系全体としての総発電量の増加が期待できる黒部川水系をモデル地点としてシステムの構築、効果の検証に着手する。
構築するシステムは、これまで考慮されていなかった融雪量を予測することで、ダム貯水池への流入量の予測精度を高める。発電所や発電関連設備を新規設置、増強などすることなく、運用方法の効率化により発電量を増やすことを目指す。

NEDOによると、発電所の運用方法が効率化されることで、年間最大約3,000万kWhの発電量の増加(1%増)が期待されるという。