情報通信
組合せ最適化が得意な新型コンピュータ、無償で使える
人口減少や交通渋滞などが深刻化しつつある。国々ではいま、これら社会課題の解決に向けて、膨大な選択肢から最適な解を見つけ出す「組合せ最適化問題」を高速に解く技術として、焼き鈍しに由来する「アニーリングマシン」が脚光を浴びている。
そこで日本では、NEDOが日立製作所、産総研、理化学研究所、情報・システム研究機構、早稲田大学とともに、'16年度から革新的なアニーリングマシンの研究開発事業に着手。この事業の中で日立が開発した「CMOSアニーリングマシン」の活用や普及を促すには、利用者と関連技術者を増やすことが重要な課題になっていて、一般利用者でも幅広い問題の解析などに使えるオープンな環境が望まれていたという。
NEDOと日立製作所は、「組合せ最適化問題」に特化したマシンによるクラウド型計算サービス「Annealing Cloud Web」の無償提供を19日に開始した。ネット経由で上記CMOSアニーリングマシンを用いて複雑な計算処理を高速に実行できる。利用者は、組合せ最適化問題の計算処理を効率的に実行でき、都市交通シミュレーション等における最適化計算プログラムの開発が可能となる。
今回のサービスでは、世界が注目する新型コンピュータを"タダ"で利用できる。初心者でもアニーリングマシンを使いやすいよう、豊富なチュートリアルが揃えられている。ほかにも、アニーリングマシンの利用シーンを分かりやすく体感できるデモプログラムが公開されている。
さらに、ソフトウェア技術者育成に向けて、さまざまな問題のプログラムを開発することが可能なWeb APIを提供予定だという。NEDOと日立製作所は、このサービスを通じて、アニーリングマシンの普及と関連技術者育成の加速を図るとともに、利用者から使い方等のフィードバックを得て抽出した課題を、今後の研究開発に生かして、アニーリングマシンの性能向上につなげていく構えだ。