デジタル機器やゲームの見本市で、AR/VR(拡張現実/仮想現実)を用いたモノや仕組みを見かける。近ごろ実務現場においても、サイヤ人的メガネやヘッドマウントディスプレイ(HMD)によって、作業手順を可視化したり、新製品の習熟訓練をしたりすることも始まっている。
VRやARを活用する物事のベースには光学製品があり、光学製品・部品には、適用分野ごとに異なるレンズの形状と性能を解析して最適化する光学設計がある。それは静止画や動画用のカメラ即ち撮像機器、プロジェクタやHMDやヘッドアップディスプレイ(HUD)といった投影機器に威力を発揮している。ほかにも、レーザー関連、光通信、医療機器や産業用計測機器、航空・宇宙関連機器など多岐にわたるという。
サイバネットは、同社が販売・サポートする米国Synopsys社製の光学設計解析ソフトウェア「CODE V」について、最新版の「CODE V 11.2」を今月19日から販売開始と発表した。バージョン11.2では、光学設計プロセスの効率化や信頼性向上、製造コストの削減をサポートするために、性能評価機能の強化や最適化制約条件の改良が行われていて、HMD設計に活用可能な自由曲面形状が新たに追加されたという。
要求仕様・性能や到達度を表形式で一元管理・評価する「SpecBuilder™」では、「ディテクタエネルギー」や「エンサークルドエネルギー直径」などに対応し、ズームポジション、画角、デフォーカスに対する一連の仕様を容易に入力できるUIに改良――。CODE Vの自動設計機能では、コスト削減を支援する「最適化コンストレインツ」が改良された。
そして今回追加された自由曲面形状「2D-Qタイプ自由曲面」は、ベストフィットコーニック面をベースとしてQタイプ多項式で構成されていて、AR/VR用HUDに要求される軽量かつコンパクトな光学系設計の強力な武器になるという。