富士フイルム、高速並列計算手法を開発して高速演算を実現

富士フイルムは、ヘルスケア事業や高機能材料事業など様々な事業分野に活用するAI(人工知能)技術の開発スピードを加速するため、NVIDIAの「NVIDIA DGX-2」をベースとしたディープラーニング用スーパーコンピュータを2018年10月に導入する。


今回の導入により、深層学習に伴う複雑な計算に要する時間を短縮することで、AI技術の開発をさらに加速させ、様々な製品・サービスに応用していきたい考え。

今回同社が導入するNVIDIA DGX-2は、1台当たりの計算処理能力が、1秒間に2,000兆回と世界最速を誇り、深層学習時の計算処理時間を大幅に短縮できる。また、総計512GBのメモリを搭載しており、医療画像や動画といった大容量データの学習も高速に行うことが可能。

同社独自の高速並列計算手法を適用することで、複数台のNVIDIA DGX-2で構成されるスーパーコンピュータのスペックをより有効に活用できるようになり、短時間で精度の高いAI技術の開発を実現する。

また、富士フイルムは、1つの計算タスクを複数の画像処理装置(GPU)に分散して解かせる独自の高速並列計算手法を開発し、高速演算を実現した。

近年、CTの多列化など医療画像診断装置の高性能化に伴い撮影画像枚数が増加していることで、医師の負担増が課題となる中、この高速演算を活用し、本来膨大な処理時間を要する3次元医療画像の学習時間を大幅に短縮させ、さらに大容量な3次元学習データを直接学習に利用。

これにより、従来では不可能であった微小で淡い病変の検出や、疾患の状態の高精度な定量化を実現する画像診断支援のAI技術の開発を強く推し進めているという。