住友電気工業は、交通事故の未然防止を目的とした安全運転支援システム用の歩行者用感知器を製品化し、出荷を開始した。24GHzミリ波レーダの採用による優れた環境性能に加え、独自のアルゴリズムを用いた高い歩行者検知精度と、広い検知エリアを実現するという。
現在、国内の交通事故死者数は年々減少傾向にある。しかし、交通事故死者数の半数以上を占める65歳以上の高齢者については、減少率が低い傾向にあり、早急な対策が必要とされている。
住友電気工業は、交通事故の未然防止を支援するため、路車協調による安全運転支援システムを開発してきた。システムの一例として、交差点に進入して右折する車両に対して、道路側に設置された感知器で検知した横断歩道上の歩行者・対向車の存在情報を無線装置から提供することで、画面表示・警告音でドライバーに注意喚起するサービスが、各都道府県警察によって運用されている。
今回同社は、既に発売している無線装置や車両用感知器に加え、新たに歩行者用感知器を製品化し、2018年3月から出荷を開始した。これまでに、大阪府警察を含む国内計5府県警察に納入している。
安全運転支援システムは、歩行者用感知器には、昼・夜の日照条件や、晴れ・雨の気象条件などの環境変化に強い24GHzのミリ波レーダを採用。ミリ波レーダは、電波を送信し、物体からの反射波を受信することでその物体までの距離が把握できる。搭載したアルゴリズムでは、反射波の特徴情報の解析から歩行者を追跡してその動きを予測する機能を実現することで、通過車両などで隠れた歩行者を検知することが可能。
ミリ波レーダにとって、感知器直近の広い領域をカバーしつつ、検知可能な距離を伸ばすことは両立し難い課題だった。複数系統のアンテナとそれらを活用する信号処理技術の開発により、横断歩道近辺の歩行者灯器柱に取り付けて、直近の待機エリアから大小様々な規模の横断歩道まで歩行者を検知できる、広い検知エリアを実現した。感知器が設置可能な場所の自由度を高められると説明する。