全世界の雨をみるAIプロジェクト、まずは東南アジアの減災へ

近ごろ地球の気候は変だ。ときに猛々しい様を見せ、人々が暮らす土地で大規模災害を起こす。世界各地で気象災害が多発――特に東南アジアなど大雨災害の多い地域では、気象観測インフラの整備および運用技術者の育成が急務となっている。


予測技術としくみが発展途上にありながら度々大雨に襲われるエリアでは現状、気象の把握や詳細予測が重要テーマとなっているものの、観測インフラ整備・人材育成における経済面および速さに課題を抱えていて、既存の物理モデルをベースとした予測技術には限界が近づいているという。ウェザーニューズは、米国NVIDIAと連携し、全世界の雨の状況を高精度に可視化・予測する人工知能(AI)プロジェクトを開始する。

気象による被害の軽減を目的とする。今回のプロジェクトでは、NVIDIAの起業支援プログラムに参画するdAignosis社DGX-1を駆使したディープラーニング(深層学習)技術の開発で協力――。NVIDIAはGPUコンピューティング用ハードウェア、ソフトウェアスタック、そしてそのノウハウを提供し、ウェザーニューズは新たな気象モデルの開発と運営を行い、次の3つの課題に挑む。

1.気象観測インフラの整備や運用技術者の育成が発展途上にある国が多く、これらの実現に莫大な費用と時間を要する
2.海上など気象レーダーの観測範囲外では雨を捉えられない
3.近づきつつある既存物理モデルをベースとした予測技術の限界

高精度な情報を持つ日本を中心とした衛星画像と、雨雲レーダー画像を教師データとして、衛星画像をベースに雨雲レーダー画像を生成し、雨の状況を可視化・予測する。つまり、未だ気象レーダーなど気象観測インフラの整備が進んでいないエリアや海上においても、その整備や維持管理が不要だという。AIプロジェクトの第一段階として、東南アジアを解析対象エリアとし、その後、他のエリアにも拡大していく予定とのことだ。