洋上風力発電施設の建設コストの20%低減を目指す

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、洋上風力発電施設の建設コスト低減を目指す「洋上風力発電低コスト施工技術開発」に着手することを発表した。2022年度までに洋上風力発電施設の建設コストの20%低減が可能な技術を確立することで、洋上風力発電の導入拡大に貢献したい考え。


再生可能エネルギーの利用拡大を目指し、洋上風力発電の普及が期待されている。しかし、日本近海の海底地盤に岩盤が多いことや施工インフラが整っていないことなどの要因により、普及が先行する欧州に比べて洋上風力発電の建設コストは約1.5倍かかるといわれているという。

それを受けて、NEDOは、洋上風力発電の建設コスト低減を目指す「洋上風力発電低コスト施工技術開発」に着手する。

この事業では、日本に適した低コストの基礎構造および施工技術に関する実証に先立ち、適用する海域の特性を把握し、コスト低減の目標を設定するためのフィージビリティスタディ(FS)を実施する。

今後、FSで当初の低コスト目標が実現可能と判断されたものは、実証研究に移行して低コスト技術を確立し、2022年度までに洋上風力発電施設の建設コストの20%低減を目指す。
具体的には、JIP(Joint Industry Program)方式による基礎構造の低コスト化技術の調査を行う。

JIP方式とは、発電事業者を主体とし、民間事業者からも開発資金を拠出する形の市場プル型の開発事業のこと。風力発電事業者による協議会を設置し、技術の検証を行うことでユーザー側からの低コスト化に向けた技術課題を抽出し、検討することで低コスト化を目指す。

また、ジャッキアップ型作業構台を活用した基礎構造物の施工を行う。ジャッキアップ型作業構台とは、昇降可能な長い脚によって支えられ、海面より上で作業可能なステージのこと。石油掘削リグを改造したジャッキアップ型作業構台を活用することで、着床式洋上風力発電施設の施工および運用保守の効率化を図ることで低コスト化を目指す。