日立製作所(日立)と日立コンサルティング、インフォメティス、東京海上日動火災保険、日本郵便、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムは、個人データを本人の同意の下で安全に活用する仕組みである「情報銀行」の実証実験を開始した。
近年、スマートフォンの普及やオンラインサービスの進展により、大量の個人データが生成されるようになった。個人データは新たなビジネスやサービスを生み出す資源として注目されているがが、データの利用においては安全性や透明性の確保が必要だ。
このような課題を解決する仕組みとして「情報銀行」の検討が進んでいる。情報銀行とは、個人あるいは事業者が保有する個人データを、本人の同意の下で安全に収集・管理・提供する仕組みのこと。
本人が情報銀行のシステム上でデータを提供する事業者を選ぶとともに、本人があらかじめ指定した条件等に基づいて情報銀行が事業者へデータ提供を行う。事業者は、受け取ったデータを活用して個人のニーズに合ったサービスを提供できるというメリットがある。
データ利用の安全性・透明性を確保するため、情報銀行にはセキュリティ対策のほか、事業者によるデータの利用履歴を確認できる仕組みが求められる。このような情報銀行が担うべき役割や要件について、経済産業省および総務省が2018年6月に認定基準を公表するなど、情報銀行の実現に向けた取り組みが進められてきた。
今回実施する実証実験では、情報銀行における個人データの収集・管理・提供の仕組みや個人データを活用したサービスの実現可能性を検証する。個人データとしては、性別や世帯構成等の一般的な個人データのほか、各家庭の電力使用量や個人の活動量データなど、今後の普及が予想されるIoT(モノのインターネット)に着目し、センサーから生成されるデータも取り扱う。