金融とIT(情報技術)を融合させたしくみ「フィンテック」がさまざまな領域に革新をもたらしている。ビットコインなどの仮想通貨はその一つであり、電子ウォレット(財布)を使って、法定通貨と同様に貯金したり送金したり、国境をも軽々越える便利さの一方で高い安全性が求められる。
昨今、仮想通貨取引(送金)におけるセキュリティ対策として、マルチシグネチャー(複式署名)による管理が安全性の一指標として重要視されている。いわゆる「マルチシグ」は、取引時に複数の秘密鍵による署名が必要なため、1つの秘密鍵の署名で取引可能なシングルシグよりも安全性が高く、鍵の紛失時にも対応しやすい利点がある。けれども複数の秘密鍵の管理を要し、その設定や運用などの手間暇が課題になっていたという。
GMOシステムコンサルティングは、仮想通貨取引のセキュリティを高めながら上記管理面の課題を解決するべく開発した、マルチシグベースで仮想通貨の送金管理ができる「GMO SignedD」を9月10日より提供開始。すでにビットコインの送金に対応していて、今後アルトコインへの対応も予定している。
「GMO SigNeD」は、仮想通貨の送金を行いたい事業者(顧客)専用のマルチシグアドレスを作成することで、そのアドレスを通じて行う仮想通貨の送金管理ができるサービスであり、マルチシグアドレスの秘密鍵を顧客側と同サービス側とで分散管理するため、仮想通貨の不正流失や誤送金、秘密鍵の紛失による凍結といったリスクを低減できる。顧客と同社は互いの秘密鍵を共有しないうえ、顧客は管理負担を最小限に抑えられる。
仮想通貨の送金フローは担当者の一存で持ち出し不可な堅牢性を保ちながらも「送金申請」から「承認/否認」まで、すべてGUI上で簡単に操作かつ細かな条件設定が可能――。マルチシグアドレスへの入金は、顧客が契約している取引所等のウォレットから行えるという。