IoTを活用した上下水道事業のクラウドサービスを日立が開発

日立製作所(日立)は、上下水道事業における運用・保全業務の可視化・省力化・効率化やノウハウの継承などを支援するクラウドサービス「O&M支援デジタルソリューション」を2018年10月1日から提供開始する。運用・保全業務の効率化やノウハウの継承などを支援する。


このサービスは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術を活用して、上下水道事業運営に関わる様々なデータを収集・分析し、設備状態の可視化や運用・保全業務を支援することで、プラントの安定運用や経営の健全化に貢献することを狙っている。

IoTプラットフォーム「Lumada」を活用しており、今後機能を順次拡充して、上下水道事業全般の経営課題の解決に貢献する総合デジタルソリューションとして提供していく考え。

日立によると、近年、国内の上下水道事業は、プラントの老朽化に伴う維持・更新の追加投資や人口減少に起因する事業収入の減少などにより、事業運営のさらなる効率化が求められているという。また、熟練運転員・技術者の減少に伴いノウハウの継承が課題となっていると指摘する。

同社では、上下水道事業運営に関わる設備情報や運転情報、作業記録、故障・修理情報などの様々なデータを、IoTを活用してクラウド上に収集し、AIやアナリティクス、AR(拡張現実)などの先進のデジタル技術を活用することで、運用・保全業務の可視化・省力化・効率化やノウハウの継承を支援するクラウドサービスを開発した。

サービスの第一弾として、3つの機能を2018年10月に提供開始する。「設備保全支援機能」はARを活用し、眼鏡型ウェアラブル端末や点検端末を通じてマニュアルや過去の故障・修理履歴の参照、作業のナビゲーションや熟練者による遠隔指示を可能にする。保全・点検作業に不慣れな作業員の安全確保や業務品質の向上、ノウハウの継承などを支援する。

また、「プラント監視機能」はIoTを活用し、センサーからデータを収集し設備の稼働状況を可視化。「台帳機能」は設備の稼働年数や故障・修理履歴、点検端末から入力された点検結果などの情報をデジタル化し一元管理する。これら3つの機能を連携させることで、効率的なアセット管理や運用・保全業務の改善・効率化を支援していくという。

さらに同社は、AIやアナリティクスを活用して運用・保全業務を効率化する機能の提供を計画しており、現在、日立が運用を受託している複数のプラントで実証試験を行っている。