近ごろ色々な分野でAI(人工知能)が使われ始めている。二次産業、三次産業はもとより、農業や水産業、ヘルスケア・医療、防犯やセキュリティ分野などでも、特にディープラーニング(深層学習)の活用が検討・評価され、これを用いたしくみを導入するケースが増えつつある。
と同時に、ディープラーニングを活用する際の課題が認識されつつある。精確な推論モデル形成のために大量の教師データを準備し、マシンに事前学習させねばならぬことはよく知られていて、そのコストと作業負荷がもとでAI導入を諦める組織がある。
ほかに、AIの出力と判断の経緯が人間に解釈できないことや、個人情報を含むデータをネット経由で隔地へ送る際にセキュリティリスクを伴うなど、これらの課題は、組み込み機器や医療等の分野におけるディープラーニング活用の障壁になっているという。PALTEKは、AIベンチャー企業ハカルスと、「HACARUS-X」を搭載したFPGAおよびボックスコンピュータ製品の開発に着手する。
独自開発されたHACARUS-Xは、少量データからでも特徴抽出が可能なスパースモデリングと機械学習を組み合わせたAIであり、開発当初から軽量化が強く意識されていて、完全にオフラインのデバイス上でも動作可能。スパースモデリングはデータ同士の因果関係の解明を得意としていて、AIが出した結果と判断の経緯に対する人間の解釈性が大幅に向上するという。
PATEKが提供するザイリンク社のSoCは、ARM搭載、業界最先端16nmプロセス、専用の並列演算用ハードウェアを特徴とした、ディープラーニングやスパースモデリング処理の最適化が行えるFPGAであり、省電力で高い性能と低レイテンシを実現する。ここに今回の協業で年末までにHACARUS-Xのアルゴリズムを実装する開発環境、'19年2月までにボックスコンピュータへ実装可能な開発環境を提供する計画だ。