2017年度の国内のPOSターミナル市場は前年度比152.8%の22万6,008台

矢野経済研究所は、2018年度のPOSターミナル市場の調査を実施し、リテールソリューション動向やPOSシステム関連事業者の戦略、市場の将来展望を明らかにした。2017年度はコンビニエンスストアの大規模な機器の入れ替えが貢献した。

この調査は、POSシステム関連事業者(POSターミナルメーカー、POSソフトウェアベンダー、タブレットPOSベンダー)を対象に2018年6月~8月に実施された。POS(Point Of Sales system)とは、販売時点売上管理システムともいわれ、物品販売の売上実績を単品で管理し集計するシステムを指す。POSシステムは、サーバやPOSターミナル(端末)、POSソフトウェア、その他周辺機器から構成される。

2017年度の国内のPOSターミナル市場規模(メーカー出荷ベース)は、前年度比152.8%の22万6,008台、同157.3%の762億9,400万円となった。また、2018年度の同市場は前年度比82.0%の18万5,320台、同80.5%の614億1,600万円になる見込みである。

2017年度は大手コンビニエンスストア(CVS)チェーンの機器リプレースが相次いだことから、一時的に需要が拡大した。過去のPOSターミナル市場は、年間出荷台数がおよそ12万台~15万台の水準で推移しており、ほぼ安定的であったが、直近の2年間に関しては大きな変動が起きているといってよいと矢野経済研究所は説明する。

POS業界におけるセルフ化は、これまで主にGMSの食品売り場や食品スーパーを中心に導入されてきたが、顧客に全てチェックアウトを任せる「フルセルフレジ」と「セミセルフレジ」に二分される。現在、セルフレジの主流になりつつあるのが、セルフ精算方式を利用したセミセルフレジである。

セミセルフレジで先行しているのは寺岡精工であり、同社の現在の主力商品は、チェッカーは店員、精算は利用者自身というスピードセルフである。同社は、他社POSシステムからのリプレースユーザーも獲得しながら、実績を伸ばしている状況である。東芝テックや富士通も同様の製品を投入しているが、セミセルフレジが主流になることで、結果として先行する寺岡精工の知名度を高める結果となっている。

2018年度、2019年度においてもCVSチェーンの機器リプレースや決済手段の多様化、ICクレジットカード対応、軽減税率の導入、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたインバウンド需要対応など各種決済回りの見直しに伴うリプレース需要が出荷台数をかさ上げする見通しである。しかしその後、市場は落ち着きを取り戻し、2020年度の国内のPOSターミナル市場規模(メーカー出荷ベース)を163,452台、523億500万円になると予測する。