アプリ連携IoT、会議室の利用実態を可視化し生産性アップ

あちこちで"働き方改革"が言われている。いま、その最も端的な実現方法はICT(情報通信技術)の活用にある。ロボットやAI(人工知能)の職場への導入はコストや心理面での敷居が高いにしても、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術なら、すでに多くの人がスマホなどで体験している。

大企業には改革の種が多く、たとえば無駄な会議や稟議をなくすことも働き方改革の一つだし、会議室の運用そのものにも課題がある。「会議室の予約が取りにくい」といった不満はある程度の規模以上の組織になれば日常茶飯事だ。そのため、担保として未確定の予定で部屋を押さえたり、確保したけど使わなくなった部屋を万一に備えてそのままにしていたり、室の利用効率を低下させ、皆の生産性を落とす悪循環がはじまる事態となる。

「無断キャンセルが多く、不使用の会議室が多く存在している」とか、「長時間予約されているのに短時間しか使われていない」といった課題もあるという。日本テレビ放送網協力の下、NTTドコモは、様々なセンサーデバイスとアプリを連携させるIoTプラットフォーム「Linking®」とデータ分析手法を用いて、会議室の利用実態を分析する実証実験を来月31日まで行う。実験結果を踏まえて今年度中の商用化をめざす。

今回、日テレ会議室内に設置された「人感センサー」「照度センサー」「開閉センサー」からの情報を基に利用状況を可視化して把握する。実態と会議室予約データとの照合・分析により、予約のみで不使用の「空予約」や、長時間予約による会議室の「未消化」まで明らかにできる。しくみのデータから会議室の利用者に是正を促すことで、予約を適正化し、効率的な利用と会議室利用の課題解決を図るという。

ドコモでは上記のしくみを自社内に適用した際、空予約15%、予約時間の長さに比例して消化率の低くなっていることも判明し、現在会議室の運用ルールを見直している。