海洋国ニッポン、離島での暮らしにドローンが潤いをもたらす

国土は約38万平方kmで世界で60番目。だが排他的経済水域(EEZ)も合せた面積は447万平方kmで世界第9位となる。海洋国ニッポンには420超の有人島と15,000超の限界集落がある。

離島や僻地、限界集落地域では、それでなくても国ぐるみで人手不足という社会的課題を抱えていため、配達員の確保が難しく、交通インフラが十分に整っていないことなどにより、物資を集配所までしか届けられなかったり、最終需要者へ届けられるまでに時間とコストがかかったりする。さらに、積載率の低い非効率な輸送は、世界的な取り組みである温暖化ガス削減ベクトルにも反している。

そこで国土交通省は、環境省と連携して、「平成30年度CO2排出量削減に資する過疎地域等における無人航空機を使用した配送実用化推進調査」事業を公募――。検証実験(地域5箇所)のひとつとして、ANAホールディングスと、エアロセンスと、福岡市とで構成された福岡市ドローン物流協議会の企画提案が採択された。

同協議会の実験では、福岡市西区宮浦から同区玄界島間の約2キロを飛行レベル3(無人地帯での目視外飛行)想定で物資を往復輸送し、「ドローン物流の実現性の確認」、「離島間物流におけるドローン活用によるCO2削減効果の検証」、「ドローン活用における離島間物流のオペレーション課題の洗い出し」を行う。人口約462人の玄界島は坂道が多く公共の移動手段がなく、将来医療品などの運搬が危ぶまれている。

ANAHDは代表事業者として航空機の運航管理およびオペレーションノウハウ、エアロセンスは国産の自律飛行型ドローンをそれぞれ提供する。補助として自動走行型宅配ロボットなどの活用も視野に入れ、低コスト・高頻度で物流拠点から最終需要者のいるところまで物資を運搬できる、海洋国ニッポンにおけるきめ細やかな物流サービスの社会実装に向けて、福岡市の玄界島を舞台に、協働していく構えだ。