映像データの認識および解析のエッジ内完結に向けて

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」と、人間の脳の働きをデジタル技術で模した「AI」は、日本がめざす超スマート社会(Society5.0)においても重要な要素となる。実際両者は様々な分野での活用が進展していて、画像処理と相性のよいAIは生産・物流、医療でも応用が始まっている。

病変部位を迅速かつ精確に検知したり、製造・物流工程で品質などを検査したり、セキュリティ・カメラの映像は、防災・減災、防犯や監視に使うだけでなく、店舗等において人の流れを販売促進につなげるなど、多彩な領域での活用が期待されている。しくみはおよそ現場(エッジ)にあるIoT機器群からのデータをクラウド上のAIシステムで分析・解析するものだ。

しかし大容量の映像データをすべてクラウドに転送して処理するとなれば時間がかかる。プロセスの遅延が大きくなるほか、クラウドや回線の負担が過大になるなど、課題があったという。NTTドコモは、防犯・監視カメラの映像データの認識および解析をエッジ内で完結させられる、新たな映像IoTソリューション実現に向けた実証実験を開始した。

AIで重用されるGPU(画像処理半導体)を内蔵し、カメラ接続、LTE/Wi-Fi®通信機能を有する屋外・屋内用小型装置「CLOUDIAN AI BOX」の活用に向け、日本生まれ米国シリコンバレイ育ちのベンチャー企業Cloudian社に7月30日NTTドコモ・ベンチャーズを通じて出資。同装置にカメラ制御・映像管理や、映像認識・解析機能を持たせることにより、既存カメラが再利用可能でかつ有線施設工事などが不要な、データ転送を極力行わない映像IoTソリューションを検討する。

NTTドコモは、今後のIoT・5Gネットワークでの活用が期待されるエッジコンピューティングについて、いずれ映像だけでなく3D空間認識などの大容量データも処理可能となる、汎用化を進めていく構えだ。