物流IoT、コールドチェーンを高度に持続・効率化する

食料品を冷凍・低温状態で生産時の鮮度を保ちながら消費者まで届ける。「コールドチェーン」は日本で特に発展していて、われわれの食事を安全かつ多彩にし、生活を豊かにしてくれている。

その連鎖体系における重要施設のひとつ冷凍倉庫では、保管品の品質維持のために冷凍設備の安定稼働が不可欠である。ゆえに熟練技術者が巡回し、庫内環境や計器類を目視確認しつつ冷凍設備の運転管理・設定操作を行う、ほかにオーバーホールなども定期的に実施している。熟練技術者のノウハウ伝承や設備の突発障害回避、消費エネルギーや保守コストの低減といった課題の解決が求められているという。

ニチレイロジグループと日立製作所は、先端IoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と運転・メンテナンスの効率化に向けた共同実証を9月から開始する。実証システムをニチレイロジグループ船橋物流センターの冷凍設備に導入し、故障の予兆診断と設備運転の効率化を支援する。両社はこれにより熟練技術者不足の課題解決や環境負荷低減をめざす。

日立グループのIoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコア、統合エネルギー・設備マネジメントサービス「EMilia」をベースに、冷凍設備の各種センサから収集・分析したビッグデータをクラウド環境に蓄積。このデータをもとに、音解析技術、日立アプライアンスの予兆診断技術を組み合せることで、高精度かつ早期に故障の予兆を検出する。

今回のシステムでは、エネルギー消費の可視化と運用改善分析を行え、冷凍設備の高効率運転支援を可能とし、CO2削減による環境負荷低減も実現。さらに故障予兆に基づいた適正なタイミングでの予防保全が可能となるため、運用・メンテナンスの両業務で、熟練技術者不足の課題解決に貢献するという。

両社の事前シミュレーションでは、冷凍設備の運用・メンテナンスコストを従来比で約25%低減できる見通しを得たとのことだ。