分子あるいはイオンの水和物を「ハイドレート」といい、低温・高圧下でガス分子と水分子が水和した固形物を「ガスハイドレート」呼ぶ。陸上資源に乏しい各国では、海底の燃える水メタンハイドレートへの期待が高まっている。
ガスハイドレートはパイプラインをつまらせる重大要因の一つであり、深水化が進む海上石油プラットフォームでは、流路の低温化によるハイドレート生成が由々しき問題となっている。それは一定の温度・圧力状態で急速に形成されるため、深刻な生産レベルの低下、設備の損傷、安全性の低下や緊急停止を招く恐れがあり、一般的には薬剤を流路に注入して未然にその形成を抑えている。
石油ガス海上プラットフォームでは、プラントの設計段階でモデリング、シミュレーション、現場試験データの利用によって、パイプライン網設計とともにハイドレート形成を防ぐ最適な薬剤注入量の計算が行われる。操業中にも現場の専門家が注入量を定期的に見直す。が、パイプラインの状態をリアルタイムに確認できないため、オペレータは、操業に支障がないようその量に十分な余裕を持たせる。
現場特性の経時変化を補うために薬剤を過剰に投与する傾向もあり、結果として、所要量を超える薬剤使用が操業上の大きな費用負担になっているという。横河電機は、薬剤注入を最適化するオンデマンドハイドレートリスク管理ソリューションを開発。今月27日から提供を開始する。
石油・ガスの生産レベルを維持し、プラント設備の状態を適切に保ち、運転コストと停止期間の最小化を支援する。今回の新ソリューションは、同社の子会社KBCが有する最先端シミュレーションソフトを、柔軟性・拡張性に優れたSCADAソフトウエアに統合し、適宜一元監視できるダッシュボードを実現。メータリングバルブを組み合わせて薬剤注入を自動化することもできる。管理ソリューションはノルウェーで開催のONS 2018に出品される。