仮想通貨の基盤技術のひとつブロックチェーン(分散型台帳)。そのしくみは改ざん耐性に優れていて、導入コストも大型システムのものよりかなり低いことから今、街中イベントでのポイント発行や、知的財産や契約の管理などにも使われ始めている。
他方、日本の貿易業務における企業間の情報連携では紙媒体やPDFが多用されていて、人手による再入力やこれに伴う誤入力のチェック・修正のため、多大な時間とコストを要している。複数の事業者が介在する貿易手続きにおいても、情報伝達・共有プロセスが電子化されておらず、輸出者による貨物状況の迅速把握が困難になっているという。
そこで経済産業省は「グローバルサプライチェーンにおける貿易手続の効率化」事業を推進。この事業の執行団体であるNEDOと23日、採択事業者を決定したことを公表した。貿易業務における生産性向上と輸出リードタイム短縮に向けて、非電子化事業者を含む一連の関係者間で、貨物や手続き等の情報を共有できるデータ連携システムを、NTTデータが構築し、特定の港湾での実証と効果検証を行う。
NTTデータは従来貿易分野において、国内初のブロックチェーン技術適用や、ブロックチェーンによる情報連携基盤実現に向けたコンソーシアムを発足させるなど、活動を行ってきた。そして今回、中堅・中小企業等を含む関係事業者で貨物や手続き等に関するデータを共有する実証事業を提案。外部審査委員会での議論を受けて、選ばれた。
実証事業では、ブロックチェーンで安全を確保した「貿易情報連携基盤システム」を構築し、中小企業にも配慮した「システム連携を容易にするAPI等の提供」を行い、輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)とのデータ連携、来年1~3月北米/アジア向けコンテナを対象に輸出プロセスの効率化を図るほか、NEDOが別途進める貿易手続き関連データ標準や共有ルールの策定作業にも協力する構えだ。