情報通信
酷暑下の体調、IoTウエアとスマホにて管理
"TOKYO2020"の出場選手たちは大丈夫だろうか、と思いを馳せるほどに、近ごろの日本の夏は暑い。メタボ対策に励む我らおじさんたちは休日に、水分をたっぷり補給してジョギングに行こうと玄関ドアを開けた途端、尻込みしてしまう。ま、いっか、とエアコンがフル回転する部屋に引き戻される。
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代を迎えた日本において、アシックスは、NTTと、センサー付きウエアを利用した暑さ対策に関する共同実験を開始。アシックスのウエア設計技術とスポーツ生理学研究で培った温熱快適性評価技術に、NTTの生体情報センシング技術、デバイス開発技術を連携させて、センサー付きウエアのプロトタイプを開発した。
両社は同プロトタイプを活用し、今夏から、人工気象室(気温・温度を自在にできる実験室)を利用した基礎的なデータ収集に加え、炎天下時の屋外における実環境下のデータの収集を実施している。これら実験データから得られる知見をもとに、2020年夏までに、暑さ対策が必要とされる暑熱環境下で作業している人々の体調管理手法を確立する予定だという。
ウエアの背中上部にセンシングデバイスを装着して、着衣内の温度や湿度、日差しの強さも反映した日射熱温度を計測する。機能素材hitoe®を用いたウエアにて個人別の身体の活動状況も把握――。取得データは、同デバイスに実装した無線モジュールによりウエア着用者のスマートフォンに転送され、リアルタイムに観察できる。
今回の共同実験をとおして両社は、一人ひとりの温熱的な人体への負荷を評価できる個人別の「暑さ指数(WBGT)」に関する算定アルゴリズムの開発、評価しきい値の策定を行い、新たな体調管理手法の確立をめざす。そして将来的には温熱的な人体への負荷が高まった際に水分補給や休憩を促すアラート通知機能など、暑さ対策に役立つ体調管理ウエアとしての実用化を目標としている。