ヘルスケアAI、健診および診療データから実地の予防医療へ

超高齢化時代を迎えた日本では、近ごろ「健康寿命」が話題になる。日常生活に制限のない、健康でいる期間を長くするためには若いうちから平素の生活習慣を健全にすること、定期的に健康診断を受けることも大切だ。

厚生労働省の資料によると、平均寿命と健康寿命の差は平成22年に男性9.13年、女性12.68年。来年以降もこの差は縮まる気配がない。不健康な状態になる時点を遅らせることは、個人の生活の質の低下を防ぎ、社会的負担を軽減するためにも重要である。同資料中の都道府県別平均寿命と健康寿命のグラフをみると、女性が前者で上位なのに後者で中位に、男性が中位から下位に落ちているところがある。

そのひとつ岡山では、倉敷中央病院が来年6月にオープンする「予防医療プラザ」において、NECとともに、「自分のいのちの未来を見よう」をコンセプトに、AI(人工知能)を活用した予防医療に向けて共創活動を開始する。

同病院の総合保健管理センターでは人間ドックを含む年間約4万件の各種健診を行っている。受診希望者は年々増加していて、更なる予防医療の充実と受診体制の整備が必要となっていたために、同センターを移転して新たに予防医療プラザを開設することで、市民の健康増進に向けた取り組みも推進――。

今回、最先端AI技術群のひとつ「異種混合学習技術」を活用したソフトウェア「NEC 健診結果予測シミュレーション」を用いて、倉敷中央病院総合保健管理センターに蓄積されている過去5年間約6万人分の健康診断データを分析し、健診結果の予測の精度向上に取り組む。

さらに、同病院に蓄積されている診療データも組み合わせて分析し、生活習慣と診療データの関連性を検証することで、発症予測まで視野に入れた技術検証を進め、予防医療プラザで利活用することも検討している。上記ソフトウェアは、生活習慣病の判定に関係の深い9種類の検査値を数年後まで予測するという。