クライアントCPUの性能は'20年まで年率15%超の伸びを示す

IT(情報技術)システムは所有から共用へのパラダイムシフトを起こしたクラウドコンピューティング時代においても、演算処理がその中心にある。それをデータセンタなどのサーバで行うか、スマートフォンやモバイルPC等のクライアント側でするか、いずれにしてもCPUの性能がシステム全体の鍵となる。

CPU(中央演算処理装置)のなかでもモバイル端末やラップトップPCなどクライアント向けのそれについて、英Armは現地時間の16日、ロードマップ等を発表した。ハイライトは次の3つ――

・ 同社CPUの進歩的なロードマップとパフォーマンス値を初公開
・ クライアントCPUの性能向上は2020年まで年率15%超のペースで続く見込み
・ 5G(第5世代移動体通信システム)の常時オン・常時接続デザインとともに、Armはラップトップ市場シェアを獲得するポジションにある

半導体の集積率は18ヶ月で2倍になる、即ち同期間で同じサイズのCPUの性能は倍加するという「ムーアの法則」への信頼が薄らいでゆく中で、直近の5年以上にわたってデスクトップPCの性能をスマートフォンで実現してきた。同社の最新テクノロジー、Cortex-A76 CPUは、その性能が同社前世代のものに比べて35%増。他社の同等パフォーマンス製品よりも消費電力が1/3以下だという。データは"Arm TechCon"会場で開示される。

Cortex-A76の後継CPU、コードネーム「Deimos」は今年中にパートナーへ提供される予定。最新の7nmノードに最適化されたそれは、Arm DynamIQテクノロジーをベースにしていて、15%を超える演算性能の改善が見込まれている。そして'19年、コードネーム「Hercules」では、最新の5nmおよび7nmノード双方に最適化され、性能向上軌道をそのままに、5nmプロセスノードでは消費電力とエリア効率が10%高まるという。

同社のクライアントCPUロードマップは、常時オン・常時接続の5Gがすべてのクライアントデバイスにもたらす破壊的イノベーションにおいて、そのメリットを得られるように設計されている。これにシリコンおよびファウンドリ・パートナーからのイノベーション群を組み合わせることにより、Arm SoCは、x86の支配を突破し、向こう5年間で、WindowsラップトップとChromebookのマーケットシェアを相当獲得できるという。

上記ロードマップについて、クアルコム社のモバイル担当SVPは同社知財や技術との融合により、「Qualcomm Snapdragonモバイルコンピューティングプラットフォームが提供する常時オン・常時接続PC体験において、新たな進歩が実現する。長いバッテリ寿命、滑らかで革新的な形状、移動中でも生産的なWindows 10といったモバイル分野のベストを届ける当社の使命は続く」と語る。